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1kWhの電気代はいくら?計算方法と電力会社で単価が異なる理由を解説
kWh(キロワットアワー)は電気の使用量を表す単位で、月々の電気代を決める要素のひとつです。1kWhあたりの電気代の目安を把握しておくことは、毎月の電気代の目安を知った上で、節約につなげるためにも重要です。
そこで本記事では、1kWhあたりの電気代の計算方法や費用内訳について解説します。併せて、近年の電気代が高騰している理由についても見ていきましょう。
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kWhは1時間における電気の使用量を表す単位のこと
1kWhは、1kWの電力を1時間消費したときの電力量のことです。家庭で契約している電気料金のプランからもわかるように、電力会社は「電気使用1kWhにつき◯円」という電気料金の単価を設定しています。
電気料金は、「1か月間の電力消費量(kWh)」に「電気料金の単価(円/kWh)」を掛けて算出しています。
1kWhの電力消費量を計算するには?
1kWhの電力消費量の目安を知る前に、W(ワット)という単位についても知っておきましょう。家庭で使用する電化製品は、それぞれ動くために必要な電力量(消費電力)が、Wという単位で決められています。
電化製品の電力消費量(kWh)は、消費電力であるWの単位をkWに直して、使用時間を掛けることで計算できます。
<電力消費量の計算式>
電力消費量(kWh)=消費電力(kW)×時間(h)
消費電力(W)の大きい電化製品を長時間つかうほど消費電力量(kWh)も多くなり、電気代も高くなるのです。
1kWhあたりの電気料金はなぜ31円?
1kWhあたりの電気料金の目安単価は、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が制定しています。2023年11月時点の電気料金の目安単価は31円/kWh(税込)です。
しかし、契約する電力会社や電気料金プラン、電気の使用量によってその単価は変わってきます。基本的には、電気の使用量が多くなるにつれて、単価も高くなるように設定されているケースが多いようです。
kWhについて詳しく知りたい人は、こちらの記事をご確認ください。
kwh(キロワットアワー)とは?電気使用量を知って節電対策しよう
キロワットアワー(kWh)とは、使用した電力量を表す単位です。kWhが電気料金にどう関係するのかを正しく理解できれば、賢く節電できるようになるでしょう。
電力会社ごとに1kWhの単価が異なる理由
電気料金には、値上げに国の認可が必要な「規制料金」と、電力会社が独自に決められる「自由料金」があります。これまで大手電力会社は、主に規制料金のプランである「従量電灯」を販売していました。
しかし、2016年の電力自由化によって、新電力も一般家庭へ電気を売ることができるようになり、自由料金による価格競争が生まれるようになりました。
こうして、単価の安いプランを提供する新電力が増えた結果、電力会社によって1kWhの単価が異なるようになったのです。
大手電力会社の電気料金の1kWhあたりの目安単価
続いて、2023年10月時点での一般世帯における電気料金の1kWhあたりの目安単価を、大手電力会社別にまとめました。
■大手電力会社10社の1kWhあたりの目安単価
北海道電力 | 東北電力 | 東京電力 | 北陸電力 | 中部電力 | 関西電力 | 中国電力 | 四国電力 | 九州電力 | 沖縄電力 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1kWhあたりの目安単価 | 44.92円 | 39.27円 | 38.85円 | 37.62円 | 28.63円 | 26.05円 | 39.55円 | 37.85円 | 26.49円 | 44.24円 |
- 2023年10月時点の家庭の電気料金について、1kWhあたりの目安単価を計算しています。
- 契約種別は30A、月間電力使用量を350kWhと仮定して計算しています。
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金の単価は1.4円/kWh(2023年10月時点)です。
- 「北海道電力」「東北電力」「東京電力」「北陸電力」「中部電力」「関西電力」「中国電力」「四国電力」「九州電力」「沖縄電力」内で公表されている数値を参照しています。
上記の表からもわかるように、最も単価の高い地域である北海道と、最も安い関西とでは、1kWhあたり約19円の差があります。電気料金は、地域間の格差が大きいといえるでしょう。
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電気代の計算方法と費用内訳
電気代を計算するには、電気代の費用内訳についても知っておきましょう。基本の電気代の計算方法は、次のとおりです。
<電気代の計算式>
電気代=基本料金+電力量料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金
■電気代の内訳
- 1 電力会社によって区分けが異なる場合があります。
- 2 地域電力会社の規制料金の場合。
電気代は基本料金に加え、使用した電力量(kWh)に応じた料金(従量料金)が加算されます。
さらに、燃料費調整も行われるため、毎月、電力量料金の単価は変動します。電気代を把握するためにも、その内訳について確認しておきましょう。
基本料金
基本料金は、電気使用量の多寡を問わず毎月固定でかかる料金です。ひと月でいくらというように決められています。
基本料金の決定方法は、大きく次の2つにわけられます。
<基本料金の決定方法>
・アンペア制:契約するアンペア容量の大きさによって決められている
・最低料金制:アンペア容量を問わず一律の料金が決められている
電力量料金
電力量料金は、電力消費量(kWh)に応じてかかる料金です。電力消費量(kWh)の合計に電力量料金単価(円/kWh)を掛けて算出します。
多くの電力会社が、電力量料金単価について「120kWhまで」「120kWhを超えて300kWhまで」「300kWh以上」というように、3段階で設定しています。
また、電力量料金と併せて知っておきたいのが「燃料費調整額」です。これは発電にかかるコストの増減を電気代に反映させるための料金で、電力量料金に含まれています。
燃料費調整額も1kWhあたりの単価が決められており、ひと月の電力消費量(kWh)によって総額が決まります。燃料費調整額の単価は、発電コストの増減に応じて毎月変化するものです。
再生可能エネルギー発電促進賦課金
再生可能エネルギー発電促進賦課金は、日本における再生可能エネルギーの割合を増やすために、国民が負担している税金です。再生可能エネルギー発電促進賦課金は、次の計算式で求められます。
<再生可能エネルギー発電促進賦課金の計算式>
再生可能エネルギー発電促進賦課金=再生可能エネルギー発電促進賦課金単価×1か月の使用電力量
1か月の使用電力量は、自宅の電気メーターがカウントする数値をもとに、「消費電力(W)×使用時間(h)」で算出されます。
この再生可能エネルギー発電促進賦課金も、電力使用量1kWhあたりの単価が決められています。
この単価は国によって決められ、1年間(5月~翌年4月)同じ金額が適用されます。単価は全国どの電力会社でも同じです。
電気代の計算方法や再エネ賦課金について詳しく知りたい人は、こちらの記事をご確認ください。
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電気使用量や電気代の平均は?
ここからは、1か月あたりの電気使用量や電気代の平均額について、世帯別、地域別、季節別に見ていきましょう。
世帯別・平均電気使用量と電気代
世帯別の1か月あたりの平均電気使用量と電気代は異なります。東京都の家庭における住宅の種類および世帯人数別の1か月の平均電気使用量と電気代は、下記のとおりです。
■住宅の種類および世帯人数別・1か月の平均電気使用量と電気代
戸建住宅 | 集合住宅 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
1人世帯 | 2人世帯 | 3人世帯 | 4人世帯 | 1人世帯 | 2人世帯 | 3人世帯 | 4人世帯 |
219kWh | 331kWh | 386kWh | 436kWh | 186kWh | 272kWh | 313kWh | 316kWh |
5,827円 | 9,670円 | 1万1,228円 | 1万2,644円 | 5,094円 | 6,998円 | 9,130円 | 9,233円 |
- 出典:東京都環境局「平成26年度東京都家庭のエネルギー消費動向実態調査報告書」
世帯人数を問わず、戸建住宅のほうが集合住宅よりも電気使用量が多く、電気代も高いことがわかります。
地域別・平均電気使用量と電気代
続いて、地域・季節それぞれの電気代平均を見ていきましょう。電気代平均の違いから、電気使用量の差もわかります。総務省統計局の家計調査によると、2人以上の勤労者世帯の地域別の電気代平均は下記のとおりです。
■地域別の1か月あたりの電気代平均額
地域 | 電気代平均額月額 |
---|---|
北海道 | 1万3,084円 |
東北 | 1万3,835円 |
関東 | 1万2,262円 |
北陸 | 1万5,517円 |
東海 | 1万2,439円 |
近畿 | 1万2,221円 |
中国 | 1万4,743円 |
四国 | 1万3,450円 |
九州 | 1万1,894円 |
沖縄 | 1万1,616円 |
- 出典:総務省統計局「家計調査」(2022年11月)
ばらつきはありますが、最も電気代が高いのは北陸で、全体的に北のエリアのほうが高い傾向となっています。冬の寒さが厳しい地域は暖房器具の使用頻度が高いため、電気代にも影響していると考えられます。
季節別・平均電気使用量と電気代
総務省統計局の家計調査によると、季節別の電気代平均は下記のとおりです。
■季節別の1か月あたりの電気代平均額
春(4~6月) | 夏(7~9月) | 秋(10~12月) | 冬(1~3月) | |
---|---|---|---|---|
1人世帯 | 6,333円 | 6,418円 | 5,200円 | 7,749円 |
2人世帯 | 1万657円 | 1万446円 | 8,470円 | 1万3,216円 |
3人世帯 | 1万2,599円 | 1万2,062円 | 9,838円 | 1万5,320円 |
4人世帯 | 1万2,713円 | 1万2,922円 | 1万785円 | 1万6,286円 |
5人世帯 | 1万4,529円 | 1万4,038円 | 1万1,748円 | 1万8,467円 |
6人以上世帯 | 1万6,764円 | 1万5,874円 | 1万4,069円 | 2万1,186円 |
- 出典:総務省統計局「家計調査」(2022年11月)
世帯人数を問わず、暖房器具の使用頻度の高い冬が、最も電気代も高いことがわかります。夏もエアコンや扇風機をつかいますが、室内外の気温差が激しい冬のほうが、電力消費量も多くなるためです。
一方、最も電気代が抑えられているのは、冷房や暖房をあまりつかわずに過ごせる秋となっています。
なお、この調査における時期は、実際に料金を支払った月となっており、使用月と1か月ずれています。
たとえば、1~3月の料金は12~2月の使用分です。
2人暮らしの電気代について詳しく知りたい人は、こちらの記事をご確認ください。
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電気代が高くなっているのはなぜ?
国内の電気代は2021年から値上がりが続いています。そのため、電気代が高騰していると感じている人も多いのではないでしょうか。ここでは、電気代が高騰している理由について見ていきましょう。
電力供給が不足している
国内では東日本大震災によって原子力発電所の稼働が激減した結果、深刻な電力供給不足に陥りました。日本のエネルギー自給率は急速に低下し、電気代も徐々に高騰しています。
さらに、世界的な脱炭素の流れを受けたことによる天然ガス(LNG)価格の高騰も、電気代上昇の理由のひとつです。この天然ガスの取引価格は、2021年10月には前年比10倍を超える過去最高水準に上りました。燃料調達に影響が出たことも、電気代高騰の原因となっています。
また、2022年から始まったロシアのウクライナ侵攻も、日本の電気代高騰に影響しています。ロシアは化石燃料に収入を依存していますが、経済制裁を与えるために各国がロシアからの化石燃料の輸入をストップ。エネルギーの需給と価格に大きな影響を及ぼしています。
- 出典:経済産業省資源エネルギー庁「令和3年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2022)」
大手電力会社による料金の値上げ
2023年6月に、大手電力会社による料金改定が行われました。これは、基本料金は据え置きながら、使用量に応じて料金が変化する電力量料金を改定するというものです。
この改定が行われた理由に、電気料金の「規制料金」を燃料費調整額の上限設定の義務がない「自由料金」が上回ってしまう事態が生じたことが挙げられます。
規制料金については、燃料費が高騰しているにもかかわらず燃料費調整額の上限が設けられています。そのため、上限を上回った調達コストについては電力会社が負担しなければならず、各電力会社の赤字の原因となっていたのです。
このような背景もあり、大手電力会社は、規制料金について約3割から5割の値上げを申請。その結果、大手電力会社10社の標準的な家庭における電気料金の値上げ幅は、14%から42%となりました。
電気代高騰の原因や節約方法について詳しく知りたい人は、こちらの記事をご確認ください。
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1kWhあたりの電気料金を把握して電気代を見直そう
1kWhあたりの電気料金(電力量料金単価)は、電力会社によって異なります。そのため、電気代を節約したいと思ったら、電化製品のつかい方を見直すだけでなく、契約している電力会社や電気料金のプランを確認して、他社と比較・検討することも大切です。
1kWhあたりの電気料金や電気代の計算方法を正しく理解して、よりお得に電気をつかえるようにするためにできることはないか、考えてみてはいかがでしょうか。
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- 2023年11月1日時点の情報です。