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全館空調の電気代はエアコンより安い?メンテナンスはいくらかかる?

住まい全体の空調をまとめて管理できるようになる「全館空調」。家中の空気を一定の温度に保てるシステムですが、この全館空調を導入すべきか、エアコンを複数台使用したほうがお得なのか、気になる人もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、全館空調とはどのようなシステムなのかを解説した上で、エアコンを複数台使用する場合との電気代を比較していきます。併せて、全館空調のメリット・デメリットや、電気代を節約するポイントについても見ていきましょう。
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全館空調は住まい全体の空調を一括で管理できるシステム

全館空調は、住まい全体の空調を一括で管理できるシステムです。大型の空調設備を床下や天井裏に設置し、配管ダクトを介して快適な温度に保たれた空気を家のなか全体に循環させます。ダクトとは、給気や排気を行うためにビルや家などの屋内に設置された、空気の通り道を作る管のことです。
各居室にエアコンを設置する従来の住まいとは異なり、玄関や廊下、キッチン、浴室なども一定の温度に保たれる全館空調なら、暑さや寒さの厳しい季節でも家中どこにいても快適に過ごしやすくなるでしょう。
全館空調とエアコンの電気代を比較
全館空調の導入を検討するにあたり、多くの人が気になるのが電気代です。ここでは、1つの住まいでエアコンを3台使用する場合と、全館空調を使用する場合を例に電気代をシミュレーションし、比較してみます。
- エアコンの電気代は、1時間あたりの消費電力(kW)×使用時間(h)×電力量料金単価(円/kWh)で計算しています。
- 計算式は、電力量料金単価を31円/kWhで計算しています。
まず、消費電力425W(冷房時)・450W(暖房時)のエアコンの電気代は、次の計算式で求められます。
<エアコン3台分の1時間あたりの電気代>
冷房時:425W÷1,000×1h×31円/kWh×3台=約39.53円
暖房時:450W÷1,000×1h×31円/kWh×3台=約41.85円
■エアコン3台と全館空調にかかる電気代の比較
1時間あたり | 1日あたり(10時間使用した場合) | 1か月あたり(30日として計算) | |
---|---|---|---|
エアコン3台にかかる電気代 | 約39.53~41.85円 | 約395.25~418.5円 | 約1万1,857.5~1万2,555円 |
全館空調の電気代 | 約10.8~30.06円 | 約108~300.61円 | 約3,348~9,319円 |
- 参考:ダイキン工業株式会社「2023年モデル Rシリーズ 製品情報」
- 参考:株式会社ヒノキヤグループ「『Z空調』搭載宅の消費電力調査結果発表」
上の表から、エアコンを3台10時間使用した場合の1か月あたりの電気代は、約1万1,857.5~1万2,555円という結果となりました。使用する時期や製品の消費電力にもよりますが、1か月あたり約1万円はかかると考えていいでしょう。
一方、全館空調は参照した資料によると、1か月あたりの平均電気料金は約4,721円となっています。7~9月の夏季は1か月あたり約3,348円、12~2月の冬季は約9,319円です。
メーカーやシステムの種類によって電気代は変わってきますが、全館空調は夏季・冬季ともに、エアコンを3台使用するよりも電気代を抑えられることがわかります。
エアコンの暖房代について詳しく知りたい人は、こちらの記事をご確認ください。

エアコンの暖房の電気代は高い?節約する方法とほかの暖房器具との比較
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全館空調のメリット

エアコンと比べて電気代が安いこと以外に、全館空調にはどのようなメリットがあるのでしょうか。下記のような点が全館空調の魅力といえます。
室内の空気を清潔に保てる
製品モデルにもよりますが、全館空調は空気清浄機能を搭載したものが主流です。空気清浄機能を備えた全館空調なら、空気中の花粉やウイルスなどはもちろん、悪臭も除去してくれます。住まい全体の空気をクリーンに保てることがメリットです。
快適な室温を維持できる
全館空調のメリットには、季節を問わず家中を快適な室温に保てるようになることも挙げられます。エアコンの風が行きわたらないような浴室や洗面所、廊下、トイレなどのスペースも、一定の温度の空気が循環します。
冬場の浴室におけるヒートショックのリスクや夏場のキッチンの蒸し暑さからも解放されるため、快適に過ごしやすくなるでしょう。
室内外に露出する機器の数を抑えられる
全館空調のメリットには、室内外に露出する機器が少ないこともメリットといえます。
一般的なエアコンは室内に露出した冷暖房機器を設置するため、室内の美観を損ねる点にデメリットを感じる人もいるでしょう。
全館空調なら室内に露出する機器は少ないため、よりインテリアにこだわった内観を実現できます。室外機の数もエアコンより少ないため、家の外観もスッキリした印象になります。
さらに、狭い部屋に無理にエアコンを設置する必要もありません。
全館空調のデメリット

一方、全館空調にはデメリットもあります。導入前に確認しておきましょう。
初期費用やメンテナンス費用が高い
エアコンを複数台使用する場合と比べて、全館空調は電気代を抑えられますが、初期費用が高額になることがデメリットです。
たとえば、35~40坪程度の4LDKの住まいに適した、全館空調またはエアコンを設置する場合の初期費用の目安は、次のとおりです。
<全館空調とエアコンにおける初期費用の目安>
・全館空調:100万~250万円程度
・エアコン(複数台):50万円程度
このように、全館空調の初期費用は、エアコンの5倍程度におよぶケースもあります。
また、全館空調は、定期的な点検やメンテナンスにも費用がかかります。年間1万~3万円程度が目安となるため、電気代とは別に備えておかなければなりません。
点検やメンテナンス、フィルター交換などにかかる費用に加え、製品の寿命や交換費用も踏まえて導入を検討することをおすすめします。
フィルターの交換に手間がかかる
全館空調は性能を維持するために、各種フィルターの掃除と交換が必要不可欠であることもがデメリットです。
フィルターには「粗塵防虫フィルター」と「給気清浄フィルター」があり、掃除と交換は次の頻度を目安に行わなければなりません。
<全館空調のフィルターの掃除・交換時期の目安>
・粗塵防虫フィルター:掃除は3か月に1回、交換は2年に1回
・給気清浄フィルター:掃除は年に1~2回、交換は2年に1回
フィルターの交換はメンテナンスの際に行われ、代金は1か所につき数千円かかります。
また、製品によっては上記以外のフィルターの掃除や交換が必要となることもあるため、導入前にメーカーにメンテナンス方法を確認してみるとよいでしょう。
部屋ごとに温度調節ができない
全館空調の多くは、部屋ごとに温度設定ができないこともデメリットです。
体感温度や心地良く感じる室温には個人差があるため、住んでいる家族全員が同じ温度で快適に過ごせるとは限りません。全館空調によって家のなか全体の温度が一定になることが、デメリットになってしまう家庭もあるでしょう。
全館空調の電気代を節約するポイント

全館空調は初期費用が高くつくため、電気代を節約しながらコスパ良くつかいたい人も多いでしょう。ここでは、全館空調の電気代を抑えるための設計や、つかい方のポイントをご紹介します。
ダクトに余分な抵抗をかけない設計にする
全館空調は、ダクトに余分な抵抗をかけない設計にすることが節電のポイントです。
ダクトによって各部屋に一定の温度の空気を供給するため、「ダクトが重なっている」「何度も折れ曲がった設計になっている」といった配管の設計が原因で余分な抵抗があると、ダクトでの送風が妨げられてしまいます。
そうなると送風量が減って空気の循環率が低下し、空調が効きにくくなるため、送風の強度を上げざるをえず、電気代も高くなってしまうのです。
全館空調を導入する際は、ダクトの設計が複雑なものとなっていないか、送風が妨げられないかという点をメーカーに相談してみるといいでしょう。
家の気密性と断熱性能を確保する
家の気密性や断熱性を高めることも、節電のポイントといえます。気密性が悪い住まいは、空調で室温を保とうとしても隙間から空気が逃げてしまうため、いつまでも強運転で稼働しなければなりません。
気密性が高ければ空調の運転強度も下げやすくなり、電気代も抑えられます。
また、気密性だけでなく、住まいの空気の温度を維持するための断熱性も確保する必要があります。
住まいの断熱性を高めるには、施工のていねいさにもこだわる必要があるため、全館空調を検討する際はメーカーの施工事例も確認しましょう。構造見学会で、施工のていねいさを確認してみるのもおすすめです。
風量設定を自動運転にする
全館空調の電気代を節約するには、風量設定を工夫することもポイントのひとつです。エアコンや全館空調の電気代を抑えたいとはいえ、風量設定を「弱」だけにすることは避けてください。全館空調を弱風設定にすると設定温度になるまでに時間がかかり、冷暖房の効率が下がってしまうためです。
快適な室温になりにくいにもかかわらず消費電力が膨らみ、かえって電気代が高くついてしまう可能性もあります。
おすすめは、風量設定を「自動」にすること。自動運転なら、自動的に効率良く設定温度に達するための風量で運転できるようになります。
最もコストパフォーマンスの高い運転方法で部屋の温度を調整できるため、消費電力も抑えられ、電気代も節約できるでしょう。
運転停止機能を賢くつかう
運転停止機能をつかうことも、全館空調の節電ポイントです。一般的に、エアコンや全館空調のような空調は、室内温度と設定温度の差が大きい運転開始時の消費電力が最も大きくなります。そのため、いったん一定の温度に達すれば、あとは少ない消費電力で運転することが可能です。
とはいえ、短時間の外出のためにエアコンや全館空調の停止や起動を何度も繰り返すと、それだけ消費電力も膨らみ、電気代も高くついてしまいます。
外出時は、下記を目安に運転を停止するか、運転させたままにするかを判断してください。
<全館空調を停める外出時間の目安>
・外出時間が1時間以内:運転を停止せず、温度を調整するだけにとどめる
・外出時間が1~2時間:室内外の気温差を確認して判断する
・外出時間が2時間以上:停止する
風量設定や転停止の頻度を見直して、できるだけ消費電力を抑えるつかい方を実践しましょう。
アフターフォローが充実しているメーカーを選ぶ
全館空調にかかるコストを抑えるには、アフターフォローの充実したメーカーを選ぶこともポイントです。
全館空調を取り扱うメーカーの多くは、設備機器を長持ちさせるためにも定期的なメンテナンスを推奨しています。建築会社に施工店を登録してもらう「加盟店制度」を採用しているメーカーがほとんどで、販売後のアフターフォローを用意しているケースも多く見られます。
しかし、なかにはアフターフォローの手薄なメーカーもあり、メンテナンス代や修理代が高くついてしまうケースもあります。全館空調を検討する際は、販売するメーカーのアフターフォローの内容も確認して、設置後もあんしんしてメンテナンスや修理を任せられるものを選びましょう。
全館空調の電気代は、つかい方や料金プランの選び方次第で節約できる

住まい全体の温度を快適に保てる全館空調は、エアコンを複数台つかうよりも電気代を抑えやすい設備です。しかし、初期費用やメンテナンス費用が高額であったり、つかい方によっては電気代が高くついてしまったりする可能性があるため、コストを抑えるためのポイントも踏まえて検討することをおすすめします。
また、新電力といったお得な電気料金のプランを持つ電力会社に契約を切り替えることでも、電気代を節約できるかもしれません。お得なプランに変更できれば、全館空調に限らず電気代全体を抑えられるため、より自分の家庭に合ったプランに変更してみてはいかがでしょうか。
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