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床暖房の電気代はエアコンより高い?効率的なつかい方を解説

床暖房は、空気が乾燥する冬の時期に湿度を下げずに足元から床全体を暖める暖房器具です。床から伝わる熱がじわじわと室内に暖かい空気となって循環し、やがて部屋全体がぽかぽかしてくる心地よさは、ヒーターやエアコンで感じる暖かさとは異なるものです。そのため、床暖房を秋口から春先まで長いあいだ使用している人や、家の新築やリフォームにあたって新たに導入を検討している人も多いのではないでしょうか。
しかし気になるのが、床暖房の電気代です。本記事では、高いといわれることもある床暖房の電気代について、タイプごとの違いと節約方法についてご紹介します。
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床暖房とは?

床暖房は、床下に配した熱源によって足元から部屋を暖めることのできる暖房器具です。足裏から伝わる伝導熱で体が直接温まるだけでなく、足元から放出された暖かい空気が部屋の壁や天井に反射して広がる輻射熱によって部屋全体を暖めることができます。
エアコンやヒーターのように温風を出して部屋を暖める暖房器具とは異なり、部屋全体が均一に暖まるのが特徴です。また、温風は上部(天井)に向かって移動する性質がありますが、輻射熱は対流を生んで全体を暖めるため、部屋の天井だけが暖かい状態になるのを防ぎます。この床暖房には、大きく「電熱式床暖房」と「温水循環式床暖房」の2種類があります。
電気式床暖房
電気式床暖房は、床下に配置した発熱体や発熱線に電気を通して部屋を暖める、電力を熱源とする床暖房です。電気式床暖房には、さらに「熱電線式」「蓄熱式」「PTCヒーター式」の3種類があります。それぞれ使用する熱源や熱源を暖める方法が異なっており、その違いが電気代にも影響するため、各種類の特徴についても知っておきましょう。
・電熱線式
電熱線式床暖房は、電気を流し発熱する金属線を熱源とし、さまざまな電化製品に使用されているオーソドックスなタイプです。床下に設置した電熱線に電気を流し、電熱線の発熱によって床を暖めます。設置が簡単で初期費用が抑えられ、部分的な場所への設置もしやすいのがメリットですが、部屋全体を暖めるのにはやや不向きでランニングコストも高めの傾向があります。
・蓄熱式
熱を蓄えられる蓄熱材に熱をため、床を暖めてくれるのが蓄熱式です。夜間に電気代が安くなる電気料金プランに加入していると、割安な夜間に熱を蓄えておくことで電気代を節約することができます。ただし、既存の住宅への導入や、各部屋への導入は容易ではありません。新築で導入する際の初期費用も高めです。
・PTCヒーター式
PTCヒーター式床暖房は、温度センサー機能を持つ、PTCヒーターを熱源とするタイプです。温度センサーが自動的に温度の低い場所を見つけて暖めるので、日当たりがよい場所などですでに暖まっていた床部分には、無駄な電力をつかいません。ただし、面積の広い部屋や複数の部屋にはあまり適していません。
温水循環式床暖房
温水循環式床暖房は、床下に配したパイプや温水マットに温水を流して循環させ、床を暖めるタイプです。温水循環式床暖房には、「ヒートポンプ式」「ガス温水式」「石油式」といった種類があります。
・ヒートポンプ式
ヒートポンプ式は、空気中などから熱を集めて大きな熱エネルギーを作り、必要な場所に移動させるヒートポンプ技術をつかって部屋を暖める方式です。自然エネルギーを利用するため環境にも配慮していますが、設備費がかかるため初期費用はかさむ傾向に。また、ほかの方法に比べて、部屋全体が暖まるのに時間がかかります。
・ガス温水式
ガス温水式は、ガス給湯器で沸かしたお湯や水を床下に循環させて部屋を暖める方式です。短い時間で効率的に部屋全体を暖めることができます。ガス料金が高騰しているときは、ランニングコストがかかってしまうこともあります。
・石油式
床暖房専用のボイラーで沸かしたお湯を使って部屋を暖めるのが石油式です。ボイラーを設置する費用とメンテナンス費用がかかりますが、ランニングコストは比較的安めに抑えることができます。
種類別・床暖房のメリット・デメリット
床暖房は、種類によってそれぞれメリットとデメリットがあります。ここでは、電気式床暖房と温水循環式床暖房について、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
電気式床暖房のメリット
電気をつかって床面から部屋全体を暖めてくれる電気式床暖房の主なメリットには、下記のようなものがあります。
・システム自体がシンプル
電気式床暖房は、熱源設備を新たに設置しなくてもよく、電熱線のヒーターパネルを敷くことで設置できるため、施工がしやすくすでに住んでいる家にも後からリフォームで導入することが可能です。また、日々のメンテナンスも基本的には不要です。
・初期費用が安く、部分的な設置が可能
電気式床暖房は、初期費用を抑えて導入できることに加えて、「キッチンの足元だけ」「子ども部屋だけ」といった部分的な設置ができます。広さや形状なども踏まえてさまざまな環境に対応できるので自由に対応が可能です。
電気式床暖房のデメリット
コストを抑えて導入したい場所への設置も自由度の高い電気式床暖房ですが、注意しておきたいポイントもあります。電気式床暖房のデメリットは下記のとおりです。
・ランニングコストが高めの傾向がある
初期費用は安いものの、床暖房が稼働しているあいだは継続的に電気代がかかります。温水式床暖房と比べると電源をオンにしてから立ち上がる時間もかかるため、ランニングコストは高めになりがちです。
・暖まり方にムラがあることも
電熱線が通っていない部分は温度が上がりにくく、場所によって温度のムラが生じることがあります。温度ムラがあると暖かさをあまり感じられないこともあるので注意が必要です。
温水循環式床暖房のメリット
温水循環式床暖房のメリットには、どのようなものがあるでしょうか。主なメリットには下記の2つが挙げられます。
・ランニングコストが安い
温水循環式床暖房は、暖かくなるまでの時間が速く、電源を落とした後でも暖かさが残りやすいため、つかい方次第でランニングコストが安く抑えられます。
・床全体が均一に温まる
温水循環式床暖房は温水が流れて床全体を暖める仕組みのため、場所によって温度ムラが生まれにくいのがメリットです。また、じんわりとした暖かさのため、低温やけどなどの心配も少ないでしょう。
温水循環式床暖房のデメリット
ランニングコストが安く、温度ムラが生まれにくい温水循環式床暖房ですが、デメリットもあります。主なデメリットは下記のとおりです。
・初期費用が高い
温水循環式床暖房は、ランニングコストは低く抑えることができますが、導入する際には配管を設置したり、熱源などの設備を整えたりする必要があるため、初期費用がかさみます。
・不凍液の定期的な入れ替え作業やメンテナンスが必要な場合も
冬になると水が凍結する地域では、床下に水の代わりに不凍液を使用しますが、この不凍液は定期的な入れ替えが必要です。万が一故障してしまった場合も、床の張替えなどの大規模な修繕を行わなければならないため、その際の費用もかかります。
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電気式床暖房使用時の電気代はいくらかかる?
電気式床暖房を使用した際、電気代はどれくらいかかるのでしょうか。ここからは、気になる電気代について見ていきましょう。
■電気式床暖房の1か月の電気代の目安
部屋の広さ | 消費電力 | 電気代の目安 |
---|---|---|
8畳 | 1,500W | 約3,200~7,000円 |
10畳 | 1,800W | 約3,800~8,400円 |
16畳 | 2,850W | 約6,000~1万3,300円 |
- 出典:パナソニック株式会社「フリーほっと」
パナソニック株式会社の電気式床暖房「フリーほっと」の場合、消費電力はサイズに応じて1,500~2,850Wとなっており、1か月の電気代の目安は3,200~1万3,300円と、部屋が広くなるほど電気代は高くなることがわかります。
温水循環式床暖房使用時のランニングコストはいくらかかる?
では、温水循環式床暖房を使用した場合のランニングコストについても見ていきましょう。
■温水循環式床暖房の1か月のランニングコストの目安
部屋の広さ | ヒートポンプ式 | 石油ボイラー式 |
---|---|---|
8畳 | 約3,400円 | 約4,600円 |
10畳 | 約4,500円 | 約5,800円 |
16畳 | 約7,500円 | 約9,800円 |
- 出典:パナソニック株式会社「フリーほっと温すいW」
パナソニック株式会社の温水循環式床暖房「フリーほっと温すいW」のヒートポンプ式と石油ボイラー式を比較してみると、ヒートポンプ式の方がランニングコストは安く抑えられることがわかります。
そして、電気式床暖房と温水式床暖房を比較した場合、あくまでも目安となりますが、同じ広さでも温水式床暖房の方がランニングコストは安い傾向があるようです。
床暖房の電気代は本当に高い?ほかの暖房器具と比較

床暖房の電気代は本当に高いのでしょうか。ここでは、一般家庭で使われているほかの暖房器具の電気代と比べてみましょう。
<電化製品の電気代の計算式>
1時間あたりの消費電力量(kWh)=消費電力(W)÷1,000×1時間(h)
電化製品の電気代(円)=1時間あたりの消費電力(kW)×稼働時間(h)×電力量料金単価(円/kWh)
- 計算式は、電力量料金単価を31円/kWhで計算しています。
■電気式床暖房とほかの暖房器具の電気代比較
暖房器具 | 出力ワット数 | 1時間あたりの電気代 |
---|---|---|
電気式床暖房(6畳) | 960W | 29.7円 |
オイルヒーター | 600~1,500W | 18.6~46.5円 |
電気ヒーター(カーボン) | 900W | 27.9円 |
電気ストーブ | 600~1,200W | 18.6~37.2円 |
こたつ | 300~600W | 9.3~18.6円 |
エアコン(8~12畳) | 800~900W | 24.8~27.9円 |
ホットカーペット(2畳) | 500W | 15.5円 |
- 消費電力は、「デロンギのヒーター|ゼロ風暖房 デロンギ De'Longhi」「Panasonic」「アイリスオーヤマ公式通販サイト アイリスプラザ」内で公表されている数値を参照しています。
今回比較した暖房器具を電気代の高い順に並べると、次のようになります。
オイルヒーター>電気ストーブ>電気式床暖房>電気ヒーター(カーボン)>エアコン>こたつ>ホットカーペット
床暖房の電気代は高い部類に入りそうですが、部屋全体を足元から暖めることができ、電源をオフにしてもしばらく暖かさはキープされるため、つかい方を意識することで費用を抑えることも可能です。
床暖房の電気代を節約する方法

床暖房の電気代を抑えて快適につかうには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。床暖房の主な節約の方法を5つご紹介します。
1 電源のオンオフを繰り返さない
床暖房が最も電力を消費するのは、部屋が冷えた状態で電源をオンにして、起動してから一定の温度に達するまでのあいだです。
ほかの電化製品をつかうときのように、こまめに電源をオンオフする習慣がついていると、しばらくその部屋から出たりするときや、部屋が暖まったりしたタイミングでオフにしてしまいがちです。しかし、一度スイッチを切って再び室内の温度を上げる場合、膨大な電力を消費することになります。
特に電気式床暖房の場合は、在宅している時間帯は床暖房をつけっぱなしにしておいた方が電気代は抑えられる可能性が高いです。起動する回数を減らすことを心掛けましょう。
なお、長時間の使用が気になる場合は、省エネモードを活用します。省エネモードは、センサーが適温を判断し、無駄なく床を暖めることで電力の消費を抑える仕組みです。常に心地よい適温を保ちつつ電気代の節約にもつながるため、つけっぱなしにするときは稼働させるようにします。
2 エアコンなどほかの暖房器具と併用する
床暖房は、タイプにもよりますが暖まるまでにある程度の時間を要します。エアコンやヒーターなどの暖房器具と併用して、できるだけ早く室温を上げましょう。
室温が高くなれば、床暖房がハイパワーで稼働する時間を短縮でき、電気代の節約につながります。
3 床に家具や敷物などを置かない
床暖房は、床からの輻射熱で部屋を暖める仕組みです。そのため、ラグやマット、カーペットなどを敷いていたり、床に密着する大きめの家具や遊具を置いていたりすると、熱の伝わり方が鈍くなります。発散されない熱が床下にこもり、床材にダメージを与える可能性もあるため、床を覆うような家具や敷物は置かず、放熱を促すようにします。
4 窓に断熱対策をする
床暖房で部屋の中が暖まるまでに時間がかかる理由のひとつが、密閉性の問題です。建付けが悪いドアや、隙間風の原因になる窓のひずみなどは、できるだけ修理するようにしてください。
また、特に外気が入りやすい窓は、厚手のカーテンで遮断したり、保温効果の高いカーテンを選んだり、断熱シートを貼って熱気が逃げるのを避けたりするのがおすすめです。暖房効率を考え、冷たい外気を入り込ませず、床暖房で暖めた室内の空気を外に逃がさないことを意識して室内環境を整えましょう。
5 アンペア数や電気料金プランを見直す
床暖房を使用していることで電気代が高いと感じたら、まずは契約アンペア数を見直します。契約アンペア数が大きいと、一度にたくさんの電力をつかえて便利ですが、電気代が高くなります。アンペア数を減らすと、同時に使える電気の量は減るため、生活に支障が出ない範囲で調整してください。
床暖房を含め、全体の電気使用料金を安くするには、電力プランの見直しをするのがおすすめです。2016年4月以降、電気の小売業への参入が全面自由化され、消費者はどの事業者から電気を買うか、自由に選べるようになりました。
各事業者はさまざまなサービスを行っており、ライフスタイルに合ったプランを選ぶことで料金が大幅に安くなることもあります。各社のサービスプランを見比べ、電気代が大きく変わりそうなプランがあれば乗り換えを検討するのも手です。
効果的な電気代の節約方法について詳しく知りたい人は、こちらの記事をご確認ください。

電気代を節約するには?効果的な4つの方法を詳しく解説
近年値上げが続く電気代。節約を考える方に向けて、効率的な家電のつかい方や省エネ製品への買い替え、電力契約や生活スタイルの見直しなど、4つの節約方法を紹介します。
電気代を抑えて床暖房を活用し、快適に冬の時期を過ごそう
床暖房は人に優しい暖房器具です。しかし、新しく家庭に導入するにあたっては、ほかの暖房器具より初期費用やランニングコストが高いことがネックになる可能性もあります。
床暖房の電気代を抑えて生活に取り入れるには、家族が集まって過ごすリビングだけ設置したり、窓の密閉性を高めたり、使用する時間を限定したり、ほかの暖房器具と併用したりするといった工夫をするのがおすすめです。それでも電気代が高いと気になる場合は、電力会社や電気料金プランを見直すことで節約できることもありますので、検討してみてはいかがでしょうか。
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