契約すべきアンペア数の目安は?必要数の計算方法と選び方

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電気料金の明細に記載されている「アンペア(A)」は、電気代の計算にもつかわれる単位です。普段の生活で意識することはあまりありませんが、アンペアの概念や料金との関連を知ると最適なアンペア数で電気料金の契約ができ、節約にもつながります。

本記事では、アンペアの基礎知識や計算方法、契約アンペア数の変更方法のほか、契約アンペア数を下げる方法についてご紹介します。

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目次

アンペアとは?ほかの単位との違い

家電製品の取扱説明書やブレーカー、電気料金の明細書などで見かける単位には、「アンペア」のほか、「ボルト」「ワット」などもあります。まずは、それぞれの単位の意味を理解しておきましょう。

電気の流れる量を表す「アンペア(A)」

1秒間に流れる電流を表す単位が、「アンペア(A)」です。電気を契約する際にアンペア数を決めますが、つかっている電化製品の数や在宅時間、世帯人数などを考慮して、ライフスタイルに合ったアンペア数に設定することが、快適に暮らす上で重要です。
契約上のアンペア数は家庭で一度につかえる最大の電流のため、それより多くの電流が必要になると、ブレーカーが落ちてしまうため注意しましょう。

たとえば、30Aの契約をしている状態で、エアコンやテレビ、浴室乾燥機、冷蔵庫といった、大型の電化製品を同時に使用して28Aまで電力を消費しているとします。この状態でドライヤーをつかったり、アイロンをかけたりすることで必要な電流が30Aを超えると、ブレーカーが落ちてしまうのです。

電気を押し出す力を表す「ボルト(V)」

「ボルト(V)」は電圧を表す単位のことで、電気を押し出す圧力のことをいいます。
国内の一般家庭におけるボルト数は100Vで統一されているため、普段の生活でボルト(V)を意識することはほぼないといえるでしょう。高いボルト数が必要なのは、業務用に大型の機器を使用する工場や施設などです。

消費する電力の量を表す「ワット(W)」

「ワット(W)」は、消費する電力を表す単位で、「アンペア(A)×ボルト(V)」で求められます。
ワット(W)が高いほど、消費している電力量が多いということになります。
電気料金は最終的に使用する電力の量によって決まるため、電力量の増加に応じて電気代も高くなります。必要なワット数は電化製品に記載されていることが多いため、購入前に確認するといいでしょう。

契約しているアンペア数の調べ方

一般的な電気料金は、基本料金に使用した分の電気代(従量課金)を加えた金額です。従量課金はどの電力会社でもワット数に比例して高くなりますが、基本料金はアンペア数に応じて決まる場合と、アンペア数に関係なく一定料金がかかる場合があります。

電気料金の基本料金がアンペア数によって決まる支払プランを選択している場合は、ワット数だけでなく契約アンペア数にも気を配ることが重要です。下記は、契約アンペア数に応じて基本料金がどの程度変わるかを表した表です。

■契約アンペア数に応じて決まる基本料金(従量電灯Bの場合) ※2023年6月現在

契約アンペア数 基本料金
10A 295.24円
15A 442.86円
20A 590.48円
30A 885.72円
40A 1,180.96円
50A 1,476.20円
60A 1,771.44円

出典:東京電力エナジーパートナー「ご契約アンペアの選び方

現在自宅で契約しているアンペア数は、分電盤、もしくは検針票(「電気ご使用量のお知らせ」として毎月届く用紙)に記載されています。

・分電盤

分電盤のアンペアブレーカーには、契約しているアンペア数が数字で記載されています。また、20Aは黄色、30Aは緑というように、契約アンペア数別に色分けもされています。ただし、色は電力会社によって異なるため、確認が必要です。
電力会社から送られてきた電気を、各部屋のコンセントや照明器具に送るための装置が分電盤で、玄関や脱衣所、勝手口などの壁面に設置されている場合が多くなっています。

・検針票

アンペア数が基本料金に影響する料金体系の場合、毎月届く「検針票(電気ご使用量のお知らせ)」でもアンペア数の確認が可能です。電気使用量の下に、「ご契約 ◯A」のように記載されていることが多いため、確認してみてください。
電力会社によっては、サイトやアプリから確認できる場合もあります。

最適な契約アンペア数の選び方

最適な契約アンペア数の選び方・世帯人数から選ぶ・つかう電化製品から選ぶ

快適な暮らしを維持するためには、ライフスタイルに合う契約アンペア数を選ぶことが大切です。
契約しているアンペア数が少なすぎると、使用する電力量がすぐに契約アンペア数を超えて頻繁にブレーカーが落ちたり、多すぎると必要以上に高額な基本料金を支払い続けたりすることになります。

といっても、自分がどれくらいのアンペア数を必要としているのか、最適なアンペア数はどのくらいなのか、わからない人も多いでしょう。最適な契約アンペア数を選ぶには、世帯人数や電化製品の数、使用頻度などがヒントになります。

世帯人数から選ぶ

1つの家に暮らす人数が多い場合は、単純に電力使用量が多くなると考えられます。家族が多い分、洗濯機や食器洗浄機、ドライヤーといった電化製品をつかう頻度も高くなるからです。世帯の中に夜型の人がいて、夜中に照明を長く使用しているなど、生活リズムが家族によって異なる場合も電気力用量が変わってきます。

世帯人数から契約アンペア数を決定する場合には、家族一人ひとりの生活スタイルを洗い出した上で検討することが大切です。おおよその目安は下記のとおりです。

<契約アンペア数の目安>
・一人暮らしなど、電気使用量が少ない場合:30A
・いっしょに暮らす家族の人数が多い、使用している電化製品が多いなど、電気使用量が多い場合:40~60A

つかう電化製品から選ぶ

家庭で使用している電化製品が多い場合は、電化製品ごとのアンペア数を確認し、全体の合計から必要なアンペア数を検討する方法も有効です。

アンペア数を計算するには、まず電化製品の本体や取扱説明書などに記載されている、消費電力を確認します。 消費電力(W)は「アンペア(A)×ボルト(V)」の計算式で求められるため、消費電力をボルト数で割ればアンペア数が求められます。

<アンペア数を求める計算式>
アンペア(A)=消費電力(W)÷ボルト(V)

家庭用のボルトは100Vが一般的ですから、電化製品ごとの消費電力を100で割ることで、必要なアンペア数を算出しましょう。

主な電化製品のアンペア数は、下記の表からも確認できます。

■主な電気機器のアンペアの目安

電化製品の種類 アンペア数
インバータエアコン 冷房:5.8A
暖房:6.6A
冷蔵庫(450L) 2.5A
電子レンジ(30L) 15A
テレビ 液晶42型:2.1A
プラズマ42型:4.9A
掃除機 弱:2A
強:10A
アイロン 14A
ヘアードライヤー 12A
IHジャー炊飯器(5.5合・炊飯時) 13A
食器洗い乾燥機(100V卓上タイプ) 13A
ドラム式洗濯乾燥機(洗濯・脱水容量9kg) 洗濯時:2A
乾燥時:13A

出典:東京電力エナジーパートナー「主な電気機器のアンペアの目安

上記を参考に、電化製品を一度につかうために必要な電力量を求めましょう。

たとえば、常時使用している冷蔵庫(2.5A)とプラズマテレビ42型(4.9A)に加えて、アイロン(14A)をつかう場合、必要なアンペア数は下記のようになります。

<必要なアンペア数を求める計算式>
2.5A+4.9A+14A=21.4A

このほか、朝の忙しい時間帯にドライヤーをつかう人がいたり、朝ごはんを作るためにIHクッキングヒーターをつかったりすると、さらに多くのアンペア数が必要になります。

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契約アンペア数の変更方法

契約アンペア数を変更する方法は、契約している電力会社に電話をし、契約アンペアの変更を依頼するだけです。

アンペア数を変更するには、変更後のアンペア数に合ったブレ—カーに交換する必要があるため、工事が行われます。工事には立ち会いが必要ですが、アンペア数の変更だけなら1時間前後で終わり、基本的には無料です。
ただし、アンペア数の変更に伴って配線工事などが発生する場合や、そのほかの設備の交換が必要な場合には別途費用が発生するため、あらかじめ電力会社に確認しておくと良いでしょう。

なお、従来のアナログメーターではなく、アンペアブレーカーの機能が内蔵されているスマートメーターであれば、物理的な工事はせずに遠隔でアンペア数を変更できます。

契約アンペア数を変更するときの注意点

契約アンペア数を変更するときには、注意が必要です。変更するにあたって、下記のような制約があります。

アンペア数の変更は年に1回まで

アンペア数は、原則的に1年ごとの契約になっており、季節ごとに変更することはできません。
クーラーや扇風機などを同時に使用することが多い夏や、暖房器具を長時間使用する冬は、特に電気代が気になる季節といえます。できれば、夏冬のアンペア数は現状を維持したまま、比較的使用する電力量が少ない春や秋のアンペア数を下げたいと思うのではないでしょうか。

しかし、無理に契約アンペア数を下げると、季節によって電力が不足し、電化製品をつかうたびにブレーカーが落ちることになるため、おすすめできません。
消費電力がピークになるときのアンペア数を計算し、多少の余裕を持って契約アンペア数を決めることが大切です。

集合住宅では、個人でアンペア数の決定ができないことも

賃貸物件や、マンション・アパートなどの集合住宅では、アンペア数を変更する際に、管理会社やオーナーの承諾が必要になることが多くあります。もし、一軒家に暮らしていれば、直接電力会社に相談することができるでしょう。

特に、集合住宅や築年数の古い物件では、電力使用量の最大値が決められている場合があります。最大容量以上のアンペア数に引き上げようとすると大掛かりな工事が必要になるため、アンペア数変更の承諾が得られないこともあるかもしれません。

もし、集合住宅に暮らしている場合には、アンペア数を変更したい旨を事前に相談し、許可を得た上で電力会社に問い合わせるようにしてください。

契約アンペア数が低くても済む、電化製品のつかい方

契約アンペア数の目安 2.1A:液晶テレビ(42型)、1A:照明(電球型蛍光灯)、2A:ドラム式洗濯乾燥機(洗濯時)、2.5A: 冷蔵庫(450Lクラス) 、5A:こたつ(強)、6.6A:エアコン (暖房)、8A:電気カーペット(3畳用) 、10A:掃除機弱(強)・電気ケトル、12A:ヘアードライヤー 、13A:ドラム式洗濯乾燥機(乾燥時)・食洗機、炊飯器(5.5合・炊飯時)、14A:卓上IHクッキングヒーター・アイロン、15A:電子レンジ

契約アンペア数を低くしたい場合、同時に多くの電化製品の数をつかわないようにすることが重要です。世帯ごとに最適な契約アンペア数は、世帯人数や同時につかう電化製品のアンペア数によって変わってきます。一度に多くの電化製品をつかって家事をすることが多い場合、安易に契約アンペア数を下げると、すぐにブレーカーが落ちてしまうリスクがあるでしょう。

ここでは、電化製品をつかう時間を分散するポイントを、いくつかご紹介します。

ドライヤーや電子レンジなどをつかっているときは、ほかの電化製品の使用を控える

ドライヤーや電子レンジは、消費電力の多い電化製品です。ドライヤーをつかう場合には、電子レンジはドライヤーを使用する前、もしくは使用後につかうようにしましょう。

家電製品のタイマーをうまくつかって、ほかの電化製品とつかう時間をずらす

炊飯器や洗濯機などタイマーのある電化製品は、夜間などほかの電化製品をつかわない時間に稼働するようにしてください。電化製品を時間差でつかうことで、全体の消費電力が大きくなることを避けられます。

契約アンペア数は下げずに、電気料金を削減する方法

契約アンペア数を変更せずに電気料金を安くするには、電力会社の切り替えを検討しましょう。

現在消費している電力量に対して、契約しているアンペア数が大きすぎることがわかったら、すぐにでもアンペア数を引き下げたくなるものです。しかし、アンペア数の変更は原則として1年に1度しかできないため、安易に判断するのは危険です。

従来は地域ごとに契約できる電力会社が決められていましたが、2016年4月の電力自由化以降は、電力会社や料金プランを自由に選べるようになりました。そこで、アンペア数を変更しなくても電気料金を安くする方法として、安い料金プランを提供する電力会社への乗換えも考えられます。

単価が安い料金プランを提供している電力会社に変更すれば、アンペア容量を変えるための工事をしたり、電化製品の使用を制限したりせずに、電気代を節約できる可能性があります。

電気代の節約は、アンペア数の見直しから!

いつも目にしている毎月の明細書などで、アンペア数と基本料金との関係を気にしている人は少ないのではないでしょうか。しかし、契約アンペア数で電気代の基本料金は変わります。電気代を節約するなら、自宅の契約アンペア数を確認することから始めましょう。

ただし、契約アンペア数の変更は、1年に1回までです。季節要因などを考慮してアンペア数を決定しないと、後悔することになりかねません。まずは、現在のアンペア数のまま電気料金を削減できないか、新電力を中心とした各電力会社の料金プランを比較検討してみることをおすすめします。

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  • 2023年6月1日時点の情報です。
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