容量拠出金制度によって新電力はどうなる?一般家庭への影響を解説

SHARE

電気料金の高騰が続くなか、「容量拠出金制度」という新たな制度が電力業界に導入され、注目を集めています。特に、これから新電力に切り替えようと考えている方にとって、容量拠出金制度がどのような影響を与えるのかは気になるでしょう。

本記事では、容量市場や容量拠出金制度の仕組みをわかりやすく解説し、新電力や一般家庭に与える影響について詳しく紹介します。容量市場の変動や容量拠出金制度の導入によって、どのように影響されるのか気になる人は参考にしてください。

ドコモでんきで、お得なdポイント還元を実現。お申込みはこちらから

ドコモでんきで、お得なdポイント還元を実現。お申込みはこちらから

目次

容量市場とは?

容量拠出金制度を理解するためにも、前提として容量市場の仕組みについて把握するべきです。初めに、容量市場の詳細について説明します。

容量市場の概要

容量市場とは、将来的に必要とされる電力の供給能力を売買する市場のことです。容量市場では、実際の電力そのものではなく、安定した電力供給を実現するための能力が取引対象となります。容量市場での売買は、オークション形式で行われ、電力会社が将来の電力需要を見越して必要な供給力を確保する仕組みです。供給力を事前に調達することで、電力の安定供給を確保し、電力不足を防ぐ役割を果たしています。

日本では2020年に容量市場が導入され、2024年から実際の取引が開始されています。容量市場の目的は、将来の電力供給不足を防ぐために、事前に供給能力を確保し、安定した電力供給を維持することです。容量市場を通じて、大規模な停電や供給不足のリスクを低減し、安定的なエネルギー供給を可能にする体制が確立することが期待されています。

容量市場の取引に参加するのは、発電所を持つ電力会社や、新電力と呼ばれる小規模な電力事業者です。供給力を持つ事業者は、オークションに出品し、最も効率的に電力を供給できる事業者が選ばれます。オークションにより、電力市場の競争が促進され、効率的な供給体制が構築されることも大きな目的の1つです。

容量市場の仕組み

容量市場での売買は、電力広域的運営推進機関(OCCTO)が中心となり、4年後に必要となる電力供給力を見積もるところから始まります。4年後の電力供給力の見積もりには、将来の電力需要や気候変動、自然災害によるリスクも考慮されます。もし電力の供給力が不足する可能性がある場合、その不足分の電力を市場で確保することになるでしょう。

4年後に必要となる電力供給力が決まったら、発電所や新電力会社などが、4年後に提供できる電力供給力をオークション形式で入札する仕組みです。オークションでは、より低コストで電力を供給できる事業者が優先的に選ばれるため、効率的で安定した電力供給体制を確立できるでしょう。

オークションの結果、選ばれた事業者は4年後の電力供給を確約します。電力会社は将来の電力供給のために、必要なインフラや発電設備を計画的に準備することが求められます。

容量市場により、4年後の電力の安定供給を支えられますが、参加する電力事業者には一定の負担が伴います。特に、新規参入の小規模な新電力にとっては、他社との競争に勝つために設備投資が必要となる場合もあるでしょう。また、最終的にはこの負担が電気料金に転嫁される可能性があるため、一般家庭にも影響がおよびます。

容量市場の導入の背景には新電力の登場がある

容量市場が導入された背景には、電力自由化が関係しています。2016年に電力の小売りが完全に自由化されるまでは、大手電力会社が地域ごとに電力供給を独占していました。しかし、自由化により多様な企業が小売市場に参入できるようになり、多くの企業が登場しました。ここで登場した企業を新電力といいます。

新電力の登場によって、電力の小売市場の競争が激化しました。新電力は、小売市場で生き残るために、電気料金を安く設定したり、再生可能エネルギーで発電したりするなどのさまざまなプランを提供しています。そのため、消費者は、多様なプランのなかから自身のライフスタイルにあったプランを選択できるようになりました。その一方で、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーによる発電は、天候によって左右され発電量が不安定であるため、安定的な電力供給の実現が課題として挙げられます。

こうした状況を受け、電力供給の安定性を確保するために、容量市場が導入されました。容量市場は、将来的な電力不足を防ぐために、電力の供給能力を事前に確保する役割を果たします。

容量市場のメリット・デメリット

安定的な電力供給が目的で導入された容量市場には、以下のようなメリットがあります。

・老朽化が進んでいる発電設備や送電設備の保全費用を確保できる
・将来的に再生可能エネルギーを主力化できる

電力供給力の取引によって得た費用は、老朽化が進んでいる発電設備や送電設備の保全費用として活用できます。昨今、発電所の老朽化は大きな課題となっており、修繕といった維持費用がかさみ投資回収できないと判断した発電所が廃止されている状況です。こうした状況のなか、容量市場の導入によって保全費用を確保し、将来の供給不足や大規模な停電のリスクを低減できることは大きなメリットといえるでしょう。

また、容量市場は再生可能エネルギーの拡大にも大きく貢献しています。天候に影響を受けやすい太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、安定した供給力を確保するために予備の供給力が必要です。容量市場では、こうした供給力を計画的に確保できるため、再生可能エネルギーが主力エネルギーとして位置付けられる将来において重要な役割を果たします。

一方で、以下のようなデメリットも存在します。

・取引価格によっては再生可能エネルギー新電力事業者に与える影響が大きくなる

容量市場の取引価格が高騰した場合、再生可能エネルギーを主体とした新電力事業者には大きな負担がかかります。価格競争が激化するなかでコストを削減するための対応を迫られることも多く、場合によっては設備投資や運営に支障が出る可能性があるでしょう。

さらに、こうしたコストは、最終的に消費者の電気料金に転嫁されることが多く、電気料金の上昇が懸念されます。容量市場が安定的に運用されれば、効率的なエネルギー供給と料金の抑制が期待されますが、価格の変動が激しい場合、消費者や事業者に対して大きな影響をおよぼす可能性があるため、注意が必要です。

容量拠出金制度とは?

容量拠出金制度は、消費者にも間接的な影響を与えるため、内容について詳しく理解することが重要です。ここでは、容量拠出金制度について解説します。

容量拠出金制度の概要

容量拠出金制度は、2024年に導入された新たな電力システムの改革で、電力の安定供給を確保するために作られた制度です。電力供給事業者は、将来の電力需要を見越して必要な供給力を確保する義務を負い、その供給力に応じて「容量拠出金」を負担します。

各事業者は、発電所が持つ供給力に基づいて拠出金を支払い、この資金は発電所の新設や老朽化対策に活用され、電力の安定供給を目指している状況です。特に、再生可能エネルギーの普及や原子力発電所の停止が進むなかで、電力供給が不安定になりやすい現状を改善する必要があります。容量拠出金制度は将来の供給不足を防ぐための重要な制度とされています。天候に左右される電力供給を補い、供給力を確実に維持できる体制を整えることが可能です。

また、用量拠出金制度は「容量市場」とも連動しています。容量市場で取引された供給力の価格に応じて、各事業者は拠出金を支払わなければなりません。こうした仕組みにより、電力供給が不足するリスクを抑え、安定した電力供給体制を築くことが期待されています。

容量拠出金制度により、電力の供給力がしっかりと確保されるため、供給不足や価格高騰を防ぎ、最終的には消費者の電気料金の安定化が見込めるでしょう。

容量拠出金制度が導入された背景

容量拠出金制度が導入された背景には、再生可能エネルギーの利用が進んだことや、原子力発電所の停止に伴う電力供給の不安定さがあります。特に、太陽光や風力といった再生可能エネルギーは天候の影響を受けやすく、安定した発電が難しいケースが多いです。天気が悪い日が続くと電力が不足することがあり、電力供給の安定に支障が出るため、不足を補う仕組みが求められています。

加えて、2011年の東日本大震災以降、原子力発電所の稼働が大幅に制限され、日本全体の電力供給に大きな影響を与えました。自然災害による電力供給の途絶えを防ぐため、安定した供給体制の構築が急務となりました。そこで、電力供給事業者に対して一定の供給力を確保する義務を課され、非常時や災害時にも対応できる仕組みが求められるようになったのです。

容量拠出金制度は、将来の再生可能エネルギーのさらなる普及にも備え、供給力の不足を補完する役割も果たしています。また、長期的なエネルギー政策として持続可能なエネルギー供給体制の構築を目指し、予測不能な事態にも柔軟に対応できる電力供給基盤を整えることが目的です。

容量市場との関係

容量拠出金制度と容量市場は密接に関連しています。先述したとおり、容量市場は、電力会社が将来の電力需要に対応するための電力供給力を売買する場で、オークション形式で取引が行われます。容量市場のオークションによって、効率的に電力を供給するための競争が促されます。容量拠出金は、容量市場で取引される供給力の価格をもとに計算され、電力会社が負担します。

電力会社は、将来の電力需要に必要な供給力を容量市場で購入することが可能です。容量市場で供給力の価格が上昇すると、電力会社が負担するコストが増え、最終的に電気料金に反映される可能性があるでしょう。反対に、取引価格が低ければ、電気料金への影響は少なくなります。つまり、容量市場の価格の変動は将来の電気料金に大きく影響を与える重要な要素です。

容量市場は、電力供給を効率化するだけでなく、競争力のある電力事業者を選別する役割も果たしています。各事業者は、自社のコストや効率性を考慮しつつ、供給力を確保するために市場に参加します。電力供給の安定化と電気料金の適正化を図ることが、容量拠出金制度の本質的な目的です。

さらに、容量市場の価格は、天候の変化や需要の増減、エネルギー政策など多くの要因によって左右されます。そのため、電力会社は常に市場の動向を注視し、適切に対応する必要があるでしょう。最終的には、容量市場を通じて効率的かつ安定的な電力供給が実現されることで、消費者の電気料金の負担の軽減が期待されています。こうした仕組みは、将来的な電力供給の安定化において重要な役割を果たしているでしょう。

容量拠出金は新電力に影響する?

容量拠出金制度の導入は、新電力に大きな影響を与えています。特に参入したばかりの新電力にとっては、制度が経営を圧迫する要因となるでしょう。また、一般家庭の電気料金にも反映される可能性があるため、制度がどのように電気料金に影響を与えるのかを理解しておくことが重要です。

ここでは、容量拠出金が新電力に与える影響について解説します。

新電力の経営を圧迫してしまう

新電力は、電力の自由化がされたあとに登場した企業であり、大手電力会社と比べて資金力や経営基盤が弱い企業が多いです。そのため、容量拠出金制度による負担が大きく、新規参入した企業にとっては経営を圧迫する原因となっています。実際、全体の約3割の新電力が容量拠出金制度によるコスト増加を理由に電気料金を値上げしている状況です。消費者にとっては、こうした値上げが直接的な影響として感じられるでしょう。

一方で、約4割の新電力は電気料金の値上げをせず、コスト削減や効率的な経営により制度の影響を最小限に抑えようとしています。こうした動きは、電気料金の値上げを行っていない大手電力会社との価格競争で後れを取らないようにするための戦略です。しかし、容量拠出金による負担が長期化する場合、新電力は設備投資やサービスの向上に投じる余力が減少し、結果的に企業の成長が制限される可能性があるでしょう。

一般家庭にも影響する

容量拠出金制度によって発生するコストは、最終的に消費者が支払う電気料金に反映される可能性があります。容量拠出金制度では、電力会社が供給力を確保する責任を負い、そのための費用が必要です。電力会社は、容量拠出金を電気料金に上乗せして消費者に転嫁するため、容量市場での取引価格上昇に伴い、家庭の電気料金も高くなります。

容量市場の取引価格は、電力の供給量や需要、天候や自然災害といった要因に左右されるため変動します。取引価格が高いと電気料金も上昇しますが、反対に取引価格が安定して低い状態が続けば、電気料金の安定化も可能です。しかし、市場価格の予測は難しく、家庭の電気料金がどのように変化するかを事前に正確に把握することは難しいでしょう。

そのため、一般家庭では容量市場の動向に注目し、必要な情報を集めることが大切です。市場価格の変動によって、将来の電気料金がどのように変わるかを見極め、予想される負担に備える必要があります。

さらに、長期的には容量拠出金制度の運用次第で、消費者の負担が大きく変わる可能性があるため、容量市場や政策の変更に関する情報にも注視しましょう。

まとめ

容量拠出金制度は、電力の安定供給を目的として導入された制度で、新電力会社や家庭に大きな影響を与えます。容量拠出金制度により、電力会社は供給力を確保するための費用を負担し、そのコストが電気料金に反映されるケースもあるでしょう。特に市場での取引価格が上昇した場合、電気料金の引き上げが懸念されます。家計の負担を減らすためには、電気料金の見直しや効率的なエネルギー管理が必要です。

家庭での電気料金の見直しを考えている方は、「ドコモでんき」をご検討ください。ドコモでんきでは、電気料金に応じてdポイントに還元できるお得な特典をご用意しております。さらに、「地球にやさしいドコモでんき Green」と「dポイントがお得にたまるドコモでんき Basic」の2プランを提供しているため、ライフスタイルによって選択可能です。

また、電気の供給は従来どおりであるため、あんしんしてご利用いただけます。電力会社の乗り換えを考えている方は、ドコモでんきをご検討ください。

ドコモでんきで、お得なdポイント還元を実現。お申込みはこちらから

ドコモでんきで、お得なdポイント還元を実現。お申込みはこちらから
SHARE