目次
新電力とは?その仕組み・特徴・料金や乗り換えるポイントなど解説
新電力とは何か?従来の電力会社との違い、どんな仕組みになっているかや、乗り換えるメリット・デメリット、切り替え方法やその際の注意点について徹底解説していきます。
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電力会社は自分で選べる!電力の小売全面自由化とは?
まずは、電力会社を自由に選べる「電力の小売全面自由化」について詳しく見ていきましょう。
電力の小売全面自由化とは?
2016年まで、一般のご家庭向けの電気は各地域の電力会社10社のみしか販売できませんでした。そのため、住む地域によって電力会社や料金プランはほぼ自動で決められていたのですが、規制が緩和され、10社以外も電気を販売できるようになりました。これが、電力の小売全面自由化です。
消費者が自分で好きな電力会社や料金プランを選んで自由に契約・変更できるようになり、電力会社を乗り換える方が増えています。
電力の小売全面自由化のメリット
電気の販売市場に参入する会社が増えたことで競争原理が働き、料金プランの幅が広がりました。「基本料金無料」「時間帯別料金」といった消費者のニーズやライフスタイルを考慮した特徴のある料金プランが登場しています。
また、スマートフォンやガスの契約との「セット割」や「省エネ診断」などの新しいサービスもあり、電気代だけでなく毎月の支出をまとめて節約できるようにもなっています。
さらに、再エネ由来の料金プランが登場して地球にやさしい電気を選べたり、地元で発電した電気を地元で消費したりする「電気の地産地消」といった動きも出ています。
このように、電力の小売全面自由化は、多くのメリットをもたらしています。
自由化でよく耳にする「新電力」とは?どんな仕組みになっている?
電力の小売全面自由化にともないよく耳にするようになった「新電力」とは何かについても解説しましょう。
新電力とは?
新電力は、電力事業に新規参入した会社のことを指します。社会インフラとして重要度の高い電力を常に安定供給できるよう、これまでは政府の許可を受けた会社が「発電」「送配電」「小売」を一貫して行っていました。
しかし、規制緩和によって「発電」「小売」については新たな事業者の参入が認められているのです。規制緩和後に電気の「小売」に参入した会社を新電力といいます。
新電力の仕組み
新電力の多くは自社で発電設備をもっておらず、発電を行う会社から電気を購入し、販売しています。こうして購入した電気については、新電力が自由に料金プランを決めて販売できるため、さまざまな料金プランが登場しているのです。
発電設備も送配電ネットワークも、これまで電気の供給に使用していたものと同じであるため、新電力に切り替えたとしても、電気の品質や停電の可能性などは変わりません。
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新電力誕生の流れ
先ほどお伝えした通り、新電力が誕生した背景には政府による電力小売自由化の動きがあります。
もともとは、地域の大手電力会社が電気の発電・送配電・小売をほぼ独占で行っていたため、電気代は高止まり状態。これを改善すべく、小売を自由化して市場に競争を生み、消費者の選択肢を拡大しようとはじまったのが電力自由化です。
電力小売自由化の流れと新電力の誕生
欧米では1990年代から、国営電力会社の民営化や電力事業を民間開放するなど、電力事業の緩和が行われています。この流れを受け、日本でも電力小売自由化を段階的に進め、電力会社に電力を売る「電力の卸売り」や「電力の小売」が一部スタートしました。
その後、次のような段階を経て、2016年に電力の小売完全自由化を達成しています。
- 2000年:特別高圧分野(契約電力2,000kW以上)
- 2004年:特別高圧分野/一部高圧分野(契約電力500kW以上)
- 2005年:すべての高圧分野(原則50kW以上)
- 2016年:低圧分野(50kW未満)
まずは、2000年に工場や商業施設など契約電力が2,000kW以上の大口需要家向けの電力小売が自由化され、続いて2004年に契約電力が500kW以上の中規模需要家、2005年に50kW以下の小規模需要家向けの小売も自由化解禁となっています。
そして、2016年に一般家庭の電力小売も解禁され、完全自由化となりました。
このように段階的に自由化が進み、一般家庭が対象となった2016年に電気の小売が完全に自由化となりました。このとき、電力小売事業に参入した会社を新電力といいます。
実は2000年に新電力は誕生していた!?
2000年に大口需要家向けの電力小売が自由化された際、各地域の電力会社10社以外も電力の小売に参入できるようになっています。このとき、経済産業省に届出をして登録されたのが、特定規模電気事業者(PPS)。この名称がわかりにくいことから、2012年に新電力と定義されています。
しかし、2000年の電力小売自由化は一部に限った動きであったことや、一般家庭に関わりがなかったことから、電力小売自由化や新電力に注目が集まることはありませんでした。
新電力が私たちの身近になったのは、2016年の一般家庭向けの電力小売自由化がきっかけです。8兆円ともいわれる電力市場の開放にビジネスチャンスを感じ、多くの会社が電力小売事業に参入。「新しい電気事業者」として、新電力という言葉が広まりました。
新電力に切り替えたときのポイント
新電力に魅力を感じているものの、歴史が浅いことから、大手電力会社から新電力への切り替えを不安に感じる方も見受けられます。あんしんして切り替えを検討できるよう、次の点を知っておきましょう。
新電力の質
2023年4月14日時点で約720事業者が登録小売電気事業者として登録されています。新電力も既存の送配電網を使うため、どの事業者から電気を買っても電気の品質は変わりません。そこで、新電力は市場競争に勝ち残るために、個性的なサービスや料金プランを設定しています。
これまでより低価格で魅力的な料金プランも登場していますが、ほかの事業者に比べて極端に料金プランが安い場合、電気の仕入れ値に対して適切な金額設定がなされていない可能性も考えられます。
そうした事業者は、近年の原油高の影響で、新電力に参入したものの撤退せざるを得なくなる可能性も否めません。さらに、会社の規模や事業母体はさまざまであることも考慮して、どの新電力に切り替えるかは十分な検討が必要です。
新電力が倒産・撤退したらどうなる?
契約中の新電力が倒産・撤退してしまった場合、一時措置として地域の大手電力会社が電気の供給を担うことになります。ある日突然電気が止まるということはないため、あんしんしてください。
また、倒産・撤退を決めた新電力には事前周知義務があります。そのため、通知を受けてから契約解除までの期間で、電気の新しい契約先への切り替えが必要です。万が一、期間内に新しい契約先が決まらなかった場合は、地域の大手電力会社が設ける「経過措置プラン」に自動的に移行されますが、できるだけ早く、電気の新しい契約先を探しましょう。
電力会社を切り替えたい!新電力への乗り換え方法と注意点
魅力的な新電力や料金プランがあった場合、どのように切り替えを行えばよいのでしょうか。切り替え方や注意点を解説します。
電力会社の切り替え方法
電力会社の切り替えは、「旧電力から新電力へ」「新電力から新電力へ」「新電力から旧電力へ」の3パターンがあります。どのパターンでも、既存の電力会社への解約連絡は新しく契約する電力会社が行ってくれるため、契約手順のみを覚えておけば大丈夫です。
それぞれの切り替え手順は次のとおりです。
【旧電力から新電力への切り替え方法】
- 切り替え先の会社・料金プランを検討
- 新しい電力会社へ連絡・お申込み
- 電気メーターをスマートメーターに切り替え(電力会社が無料で実施)
- 新しい電力会社との契約スタート
【新電力から新電力もしくは旧電力への切り替え方法】
- 切り替え先の会社・料金プランを検討
- 新しい電力会社へ連絡・お申込み
- 新しい電力会社との契約スタート
スマートメーターがすでに設置されている場合は、工事不要です。また、全世帯・全事業所へのスマートメーター導入が国のエネルギー基本計画で示されています。新電力から旧電力への切り替え時に、スマートメーターからアナログメーターへの交換工事は発生しません。
新電力へ切り替える際の注意点
新電力へ切り替えれば電気代が必ず安くなるとは限りません。料金プランによっては金額が上がる可能性があるため、ライフスタイルに照らし合わせて選びましょう。
また、ウクライナ情勢などの関係で燃料が高騰していることにより、電気の値段が上がっています。新規申込みの受付を中止していたり、採算があわず撤退したりする新電力が増加しているため、会社選びも慎重に行ってください。
電気代の安さだけでなく、会社の信頼性もポイントに新電力を選ぶことをおすすめします。電気以外にも主力事業があるなど、母体がしっかりしている新電力を選ぶと比較的あんしんでしょう。
新電力の切り替えに関するQ&A
大手電力会社から新電力へ電気の切り替えを検討する際、多くの方が抱く疑問を挙げてみましょう。
新電力にすると電気の質が変わるの?
先述の通り、新電力でもこれまでの送配電設備と変わらない設備が用いられるため、新電力に切り替えても電力の質は変わりません。
新電力で本当に電気代は安くなるの?
新電力に切り替えれば必ず電気代が安くなるとは限りません。一見すると電気代が安くなるような料金プランを選んでも、家族構成や電気の使用時間、使用状況などによっては割高になる可能性もあります。
節約のために新電力へ切り替える場合は、家庭にあった料金プランを選ぶことが大切。切り替えによって電気代が上がってしまった場合は、さらに別の新電力や料金プランへ切り替えを検討しましょう。
また、新電力によっては、従来の電気代よりも割高になるものの、将来を見こして地球にやさしい電力の供給を目指している会社もあります。電気代以外の付加価値も考慮したうえで新電力を選ぶという方法も選択肢のひとつです。
新電力は信頼できるの?
さまざまな分野から電力小売事業に参入できるようになったとはいえ、事業を開始するためには国の審査を通過し、「小売電気事業者」に登録されなければなりません。
つまり、新電力として電力小売事業を行っているのは条件を満たした会社のみとなるため、比較的信頼できると考えられます。
さらにいえば、「事業母体が大きい=会社が安定している」「契約数が多い=多くの方の信頼を得ている」ような会社なら、よりあんしんかもしれません。
電力供給が滞ることはないの?
発電所から多くの会社が電力を調達していると聞くと、「電気の調達ができず、供給が滞ることもあるのでは?」「発電・送配電・小売を行う会社が異なるとトラブルになるのでは?」と不安になる方もいることでしょう。
しかし、新電力に切り替えたことを理由に電気の供給が滞ることはありません。電気の安定供給を担う送配電事業は、政府が許可した一般送配電事業者が中心に担っており、使用される設備もこれまでの送配電設備となんら変わらないからです。
また、契約している新電力が調達した電力が一時的に不足したとしても、一般送配電事業者が調整して電気を届けるルールがあるため、あんしんして電力会社や料金プランを選べます。
新電力への切り替えはカンタン!
電力の小売全面自由化や新電力について解説しました。ポイントをまとめてみましょう。
- 電力の小売全面自由化にともない、多くの新電力が電気の小売に参入
- 各社から趣向を凝らした料金プランが登場し、電気料金の選択肢の幅が広がった
- 料金プランはライフスタイルに照らし合わせて選ぶのがおすすめ
新電力への切り替えはさほど難しくありません。気になった方は、各社のプランを検討してみてください。
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- 2023年4月16日時点の情報です。